穴は深ければ深いほど熱くなる


興味のない人には申し訳ないが今週も2週続けて地球科学です。
本音言うと理系の各分野についてバランスよく入れたいんですけどね…
ただ、最近のnatureなんか見てても半分近く生命科学が占めている
という事情などもありまして…後私自身がそっち系ってこともあります。

我々は自らである生命、そして自らの足元のこの星についてどの程度
知っているのであろうかとたまに自問自答します。

さて、そんなわけで我々の足元がどうなっているかについての研究は
結構いろいろな方法で進められてきた。

例えば人工的に地震を起こし地震波がどのように伝わるかを調べることで
地中の様子を調べる方法がある。
かつては火薬を使って行われていたが、現在では空気圧で起こすようである。

また、調査目的ではないが核実験なんかするとその衝撃波は地殻にも伝わる
ので、こっそり大型の核実験は実質できない。
大型の核爆発起こす意味なんて基本的にないとは思うが…アメリカかどっかで
核爆発を起こしたら罰金5万ドルとかいう法律あったよな…誰がやるんだよ。

さて冗談はともかく(冗談のようだが法律自体は存在したと思う)、地球を
調べるとしたら近い領域なら掘ってしまったほうが手っ取り早い。
掘ってどのような鉱物で構成されているか調べる。

ボーリングによる地質調査などそのいい例である。
ボーリングといっても球を投げるそれとは関係ないぞ。
地中に穴(bore)を掘削する作業のことで、油田や温泉調査とか地質調査、
南極の氷の調査などもそれにふくまれるか、後海洋地質調査とか。
こうやって掘って得られたサンプルがどのようなもので出来ているかを
調べることで地殻の比較的浅いところをしらべることができる。

浅いといってもkm単位なんだけどな…でも地球全体からしたら
地球の半径が6400km弱だからマントル層すら調べられない。

そこで、1957年5月、米国のウォルター・ムンクらが「海洋地殻完全掘削計画
を提唱したのである。むしろこちらの名の方が一般には知られているかもしれない。
後の「モホール計画」である。

地球の地殻の構造というのは、少し氷山などに近いといえるかもしれない。
どういうことかというと、高い山などのある部分の近くは分厚く、逆に
海底の地殻は非常に薄くなっている。
陸塊の地殻の厚さは25〜30kmにもなる。
ところが、海底の地殻の厚さは5kmより少し多い程度である。
人類がすでに掘った一番深い穴は12kmほどに達しているのだから、やってやれ
ない数字ではないはずなのである。(実際にはそうでもないけれど)

それで何を調べたいかというと、モホロヴィチッチ不連続面の先のマントル層
がどのような構造になっているのか、である。
何でそんなものを調べたいか。地震とかの起きるメカニズムや地球の構成など
について調べるためである。

とにかく、1959年から実際にモホール計画はスタートした。
であるが…研究者の興味が浅い部分の堆積物に移ったりしたことや
(これはこれで興味がある。なぜなら地球の磁気の方向が入れ替わるという
 磁極移動という現象が存在することの証明になったりするからだ)
あと、致命的な問題…金、金だよ。金がねぇんだよ!
とにかく金、金なんだよ!!…どっかで見たなこれ。

まぁとにかく予算が取れなくなってがなくってやめてしまったのだ。
一方NASAは人類を月に送った…ふざけんなよ。
その後も何とか地球を深く掘ろうとした計画はあったのだが、結局のところ
2000m程度しか掘っていない。マントル、遥か遠く。

それというのも、一応モホール計画以後、各国共同の地球調査プロジェクト
はあったのだが、予算やらスペックやらの関係で実現できなかったのだ。
…掘削能力が全然足りなかった。

そこでというかなんというか、2002年に高い掘削能力を持つライザー装置
を搭載した大型掘削船「ちきゅう」が就航した。
総トン数57500トンという巨大な船である。下手な戦艦以上の重さだというと
正直驚かれる方もいるのではなかろうか。

こいつの目標は「マントルまで掘りぬく」ことにある。
そのための能力を与えられている船なのだ。
なぜライザー装置か必要なのか、それは圧力によって穴が壊れないために
掘りながら圧力を適時かけてやる必要があるからである。

もちろん、マントルまで掘る際にいろんなものに出会えるはずである。
例えば深海、それも地層内に存在する生命などに会えるかもしれない。
そういった生命は実は深海底独自の存在である、あるいは生命の起源を
たどれる可能性もある。
ひょっとしたら生命の起源は深海底かもしれない。

また、今流行のメタンハイドレートの調査も行えるだろう。
宇宙もいいけど海底だって熱いよなぁ、そう考えると。
そんなわけで、今年の9月からまずは小手調べとして世界新記録を狙うそうだ。
その後、マントル層まで到達する掘削を行う。

地球の奥底に何が埋まっているか、わからない部分も多いから期待したいところだ。
穴は深ければ深いほど燃える人たちに例えるなら、深くまで潜ると
あんなアイテムやこんなモンスターに出会えるかもしれないぞと。
…存外似た感覚で掘るのかもとちょっとだけ思った。

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